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2018年10月18日 (木)

ロシアPCAカンファレンス2018-2/5, プレゼンテーション聴講

 2日目。朝10時から夜9時までの長い1日だった。いくつかのプレゼンテーションに連続して出た。1. 「この協会の設立経緯、今までの活動と目的」、2. 「PCAは文化なのか人間性に焦点をおいているのか」、3.「いわゆる精神障害者や知的障害者に来談者中心療法は適用されるのか」、4. 「フォーカシング」。そして、招かれて出席した、5. 「来談者中心カウンセラーの料金をどうするか」という議論である。


1.この協会の現在の代表者は、ベニアミン・コルパチニコフ。モスクワ大学生時代にロジャーズの論文に出会い、それに魅了されて歩んで来た人である。私は、1995年のギリシャでの国際パーソンセンタード・アプローチ・フォーラムで始めて出会って以来、その人柄と意気込みを感じて、以来交流が続いている。飾らない人柄が魅力。その彼がこの協会作りに携わり、現在に至っている。その意気込みや今後の抱負が述べられた。

2. 発表者はアレクサンダー・オルロフ。ロジャーズがかつてモスクワでワークショップをしたときに出席され、以来それに魅了され、現在でのけん引者になっている。ロシアの心理学で中心になっているのは、「歴史・文化アプローチ(私の訳出)」であり、その名前のとおり、人間の歴史や文化影響されている姿に焦点を当てている。このパーソンセンタード・アプローチ(PCA)はそれに真っ向から対立するものである。PCAは文化よりもより個人、そして個人の人間性(nature)に焦点を当てる。そこに大きな特徴があるという主旨。ロシア心理学の対比から考慮するととても興味深い。大事な点を突いている。とはいえ、フロアーからも意見が出ていたが、私には、これは二項対立ではなく、それらの関係性をも含めた全体性にPCAの特徴があるというふうに思えるのだが・・・。ま、それはともかくとしてこのような彼の思考過程がおもしろいと思った。最初に問いを発し、それに対して論を展開していく。何か独自の思考方法のように思えた。ちなみに、ロシアの心理療法の主流はゲシュタルト療法のようである。これも興味深い。

3.発表者は、オルガ・ボンダレンコ。フォーカシングを中心にモスクワで活躍されている方である。現在、訓練プログラムを精力的に展開されておられる。この質問は本当によく出る。特に、PCAに出会う最初のころによく出る疑問である。CCT/PCAは言葉を中心にやりとりをしているように見えるので、それらに困難性のある人達にそれが適用されるのかという疑問である。また、人間の成長傾向にも疑問が出されていく。
 オルガさんはまずは、ロジャーズのウィスコンシン大学時代のプロジェクトにふれられ、それが有効であること、またこの分野で実践されている人々が沢山いることをふれられる。要は言葉ではない。クライエントの体験過程(情動の動き)、セラピストの体験過程が大変重要でいわば有効なツールになる。また、クライエントの生い立ちに関する知識がセラピストの安定性にとって重要であると述べられた。実際にフロアーからは、これはクライエントに問題があるのではなく、セラピスト側にとまどいや不安があることが問題なのだという気づきも発言された。その後、3人一組になって、セラピスト、クライエント、観察者をおいて、双方言葉無しで手を使って表現するという場を設定して面接を体験してみるというエクササイズを行った。私も参加。言語が理解出来ないときにこの感覚が力を持ってくるのがおもしろい。セラピストになったときは、クライエントの動きがありありと感じられておもしろかった。クライエント側になったときは、自分が直面している問題がはっきりとしてきてそれにまつわる探究が出来たことがおもしろかった。セラピストの笑顔や反応みているととても安心があり、楽しく展開することが出来た。自分なりに1つの結論が出たのもおもしろかった。心和む一時であった。結局セラピストの純粋性、一致、つまり、刻々と流れている自らの感情に開かれていることが大きな鍵になると再度確認した。

4.発表者は、スベトラーナ・クツコバ。この人も直接お会いするのは今回が初めてである。にこやかな温かい感じが印象的。ボンダレンコさんと同じくモスクワでフォーカシングを中心に活躍されている。フォーカシングの今までの知識を確認することになり、実際の面接デモンストレーションも体験出来た。腕に違和感のあるクライエント。進める内に今までの経緯やそれにまつわる情動が鮮やかに浮かび上がってきたのが印象的だった。結局は怒りの感情の押さえ込みだったのだ。
その時のクライエントの笑顔も印象的だった。
 とてもおもしろいアプローチだと思う。セラピスト側がより安心して進められのが特徴かもしれない。とはいえ、シフトするにはいろんな感受性やスキルが求められのかもしれない。また、フェルトセンス、シフトすることが治療につながるという大前提を中心にこの体系は出来ているが、それが人間の全体なのか私には疑問に思える点もある。人間は意志をも含め未だ明らかになっていない全体的な力を発揮するのではないかと改めて思った次第である。これは今後の探究として楽しみにしておきたい。

5.発題者は、ローマン・シャポラロフ。30台の若手。昨年招かれたときに知り合った。飾らない、純粋な人柄が魅力的。ウラジオストック生まれ。アジアに親近感を持っている。
外国の経験者ということで、私を招待してくれた。「来談者中心療法では、クライエントが料金を決めるべきではないか」というのが主旨。これをめぐって大いに議論が沸いた。私も結構興奮して話した。その考えにまったく反対ではないのだが、一方的にクライエントが決めるとなると同意できない面もある。というのは、クラエント中心セラピーも非常に熟練を要する構成された場である。クライエントの成長力をより促進する場、つまり、その心理的風土に満たされた場を維持するのは並大抵のことではない。こちらに学習・訓練と経験が必要である。体調管理もとても大事。いわばICU酸素テントのようなものである。それには、一定の価値とそれを表す金額がセラピスト側からも提示される必要があるのではないかと思う。その軸を基に料金が決まっていくのではないかと思う。そのことが私を熱くさせたと思う。
 ところで、これはたんに議論ではなく実際にクライエントに料金を決めてもらっている実践が紹介された。このセッションであなたにとって高い金額、適当な金額はいくらなのかを提示してもらい、料金設定をしていくというやり方である。実際にはうまくいっているという。今までの私にはなかったやり方で驚いたし、ちょっとショックであった。とはいえ、やはり、しかし・・・が付くのが今の私である。ともかく、ひとつの決め手があるわけではない。それぞれのセラピストのところで探究していくものかもしれない。

 2日目のいきさつである。
これらは私の印象なので文責はすべて私にある。自身の実践を振り返ったり確認するとても貴重な場になった。この後、夜のセッションがあったが、さすがに疲れて私は研究室で休憩させてもらった。明日のワークショップについて練ることもひつようだったから。家に帰ったのは10時半頃だった。これまた通訳に恵まれ、うれしかった。感謝します。

 副産物として、これほど長時間ロシア語に接したのは初めてだった。もちろん意味はわからないのだが、ニュアンスはなんとなく届いてくる感じがする。デリケートで微妙な色合いのある響きが気持ちと共に表れている感じがしてがとても心地よかった。ロシアの人たちの暖かさとやさしさが滲み出ている感じがするのだ。


(写真は滞在していた友人宅から見える風景。巨大なアパートが隣接する住宅街である。モスクワはアパートが中心である。付近は公園も完備され、木々が美しい。秋から冬へ。黄葉がとても美しい。)

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