ロシアPCAカンファレンス2018-3/5、ワークショップ

1. 私のワークショップ。(説明文はこのページ参照)。
3時間という十分な時間をもらったので、これを2つに分け、前半を私の自己紹介と質疑。後半を「如是我聞ゲーム」の紹介とした。
自己紹介は、今の私の居所、経歴、ワークショップでとても惹かれたこと、PMPでの学習を中心に話、PCAの魅力、大事なテーマについて話をした。
その後、質疑応答。日本でのPCAの現状についての質問が中心だった。大学でのコースについて質問がある。当時は大学外での学習が中心であり、現在は、それも継続しつつ臨床心理学コースが出来、そこで学べることになっていることについて話した。PCAという学科はないことついても話した。このあたりの説明は難しい。日本の実状は入り組んでいて決して単線ではないからだ。
また、PCAは今では日本で広がっているのか減少しているのかという質問。ロシアではまだまだマイナーだという実状があるし、それが広まって欲しいという願いが質問者にはあった。私の印象を聞かれたのでどちらかというと減少していると答えた。とはいうものの、そうも単純化出来ない。ということで、今、日本には全日本カウンセリング協議会と人間関係研究会の2つの団体があって、全国各地でワークショップが行われている。これはオープンで学びたい人は誰でも学べることになっているという事実を話した。質問者の感想を聞くと、「ロシアよりは広がっているなと思った」ということであった。そうなのだ1960年代からの長い歴史があると改めて思う。最初に入ってきたカウンセリング・アプローチはロジャーズであったことも話す。そういう意味では、臨床心理を学ぶ人たちの基盤になっていることは確かである。
休憩を挟んで、後半はエクササイズ。「フィードバック・ゲーム」、「如是我聞ゲーム」などと呼ばれている輪になって行う傾聴練習を紹介した。話し手がまず、隣の人に向かって話し、聞いた人はその理解を繰り返して確かめる。話し手が正確に理解してもらったと感じたらそのヤリトリはOK。次は、聞き手だった人が話し手となり、前のやりとりとは関係なく自分の言いたいことを隣の人に話す。聞いた人はそれを確認する。これを順番に繰り返していく。まさにキャッチボールだ。「心のキャッチボール・ゲーム」と呼んだ友人がいる。言い得て妙である。どんなゲームかをつかんでもらうためにまずは「色」という簡単なテーマを決めた。次は、「好きな食べ物」というテーマで行う。ひとつひとつ終わった後の感想を丁寧に聞く。そうして、いよいよ本番に入り、なんでもいいから言いたいことを隣の人に話すという順番で行う。これは、私がずっと行ってきたやり方である。ロシア語はわからないので通訳してもらおうかどうか悩んだが、理解してくれたかどうかを判断するのは話し手であるし、それをつけると流れが中断してしまうので今回は無しで行った。正確に伝わったかどうかは2人の感じでなんとなくわかる。すっと伝わっていっている印象である。今から思うとひとつひとつ通訳をしてもらった方がよかったかもしれない。話し手の判断にまかせたことがかえって良かったのかもしれない。これは判断の難しいところである。
こんな風にしてヤリトリが終わる。出てきた感想がおもしろかった。他の人も聞いているから交流になり、いろいろ気づきがある。最初の色と食べ物の時はもうひとつよくわからなかったが、最後のヤリトリではしっかりと理解が深まっていくことを感じた。自分の中に入っていくという感じ。はたまた、そもそもこの主旨がよくわからない、外ではこんなヤリトリはないし、Kazuoのねらいを聞かせて欲しいという感想。まずは、「特に何も見つからなかったのですね」というレスポンスをし、話すことを考えていたら、他のメンバーから先ほど書いたようないろんな感想が出て、その人の気づきを促していったようである。特に、これはとてもシンプル。でも、このシンプルさに意味があるという気づきは、その人の心を打ったようであった。
私も話した。これは自分にすごく役に立っている。日常でも私がこのことに注意していればいろんな事が起きると子どもの例や怒ったり、混乱している人の例を挙げて話した。これは他の人にもいろんな気づきになったようである。ちょっとびっくりしたのは、退屈だった、動きが欲しかったという感想。これは初めて私が受けた感想。でも、やりとりしている内に発言者の思いがよくわかってきた。自分の日常はすごく忙しくしている、そんな中でこれが思われたとのこと。おもしろい。彼にとっての気づきだったのかもしれない。
こんなことを通して結構穏やかで楽しく交流が続いていったようである。中にはこれを仏教との関連で見る人もあった。そうだ確かに仏教の真髄は深いが見た目には退屈だと思った。これも発言者にヒットしたようである。
他の国のことをよく知っているわけではないが、私にはこのゲームは「如是我聞ゲーム」の名の通り日本文化と関連しているのではないかと思える。受容の文化である。ロジャーズを受容の観点から受け入れていったのも日本の特徴と思える。いろんな気づきをもらい、楽しく過ごさせて頂いた。ここしばらくこのゲームを海外で続けて行ってみようかと思っている。説明とセットにして実技として紹介していくとおもしろいのではないだろうか。D-pcaとも関連しているようにも思える。そうそう、セッションが終わってから個別に私の1人1人にすごく関心を向けている態度に感心したという感想をもらったのはとてもうれしかった。
→カンファレンス・ウェブサイト
長くなったのでひとまず3日目の紹介はこれぐらいにしておこう。この後、すごく印象に残ったディスカッショングループやクロージングある。それらは、次回に・・・。
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