4月D-pca研究会-真宗カウンセリングの客観的規定-
一昨日は4月D-pca研究会。いつものようにオープニング・ミーティングから始める。「困っていること」、「分かち合い」では日常での出来事が共有される。一月と言えどもその間に様々なことがあった。まさに生きるとは悲喜こもごもである。「プラン」では継続プランである西光義敞「『真宗カウンセリング』の成立」の輪読を行う。
輪読はいよいよ最終章に入った。前章までは著者の中で起きている真宗カウンセリングについての主観的報告であったが、ここではそれをより客観的に眺めてみてこのアプローチがどのような特徴を持っているかが述べられる。本論では「最小限、これだけのことは言えるのではないか」といういくつかの点が述べられている。(p.46-51)
真宗カウンセリングの特性として3つの特徴があげられる。
1.「真宗カウンセリング」は、カウンセラーが真宗の立場に立って行うカウンセリングである。つまり、カウンセラーが真宗の教法に帰依する心を根底において行うカウンセリングであること。
2.「真宗カウンセリング」は、「法(Dharma)」を根底においた、あるいは、「法」中心のカウンセリングである。
3.「真宗カウンセリング」は、相対的な存在である自己と他己との関係、相対的存在である自己および他己と絶対的存在である仏との関係、という二重関係からなるカウンセリングである。
これは、次の図解で表すことが出来る。(p.48-49)(図をクリックすると拡大図が表示されます)
第一図は特性第1の真宗カウンセラーのありようが示されている。それは法を根底において仏法が生きて働いている真宗カウンセラーの姿が表されている。
その真宗カウンセラーがクライエントと向かっているときを客観的に表すと第二図のようになる。法を根底においてクライエントと成長促進的人間関係をとろうとする態度である。その時クライエントは法(仏法)のことにはまったくといっていいほど関心がないことがここで表されている。クライエントの側から見れば成長促進的人間関係をとろうとして関わっているカウンセラーの姿が感得されるのみである。第二図はそれを表している。
とはいえ、真宗カウンセラーの方では法を根底においてクライエントを見ていてクライエントにも法の働きが向かっていることを信知・感得しながら接している。ここが大きな特徴のひとつである。
「真宗カウンセリングといっても、外見的、形態的にはことさら他と異なった関係にあるのではないが、(略)カウンセラーは、カウンセリング過程における自己の内面の動きを、仏の鏡に照らして見、クライエントの告白を如来の大悲心をもって聞くということがあり、それが敏感にクライエントに伝わるということもありうる。(P.50)」
これは第三図によって表されている。点線がそれを表している。これは同時にクライエントも真宗カウンセラーと出会いながら仏法に開かれていくという可能性も表している。
さらに、カウンセラーもクライエントも共に法を共有している時には第四図のように図示できる。これは共に仏法を讃談しあい、双方に生きて働く仏法を感得しながら行うカウンセリングである。まさに希なる殊勝縁である。この可能性をもちろん真宗カウンセリングは秘めている。
これらを総じて言えば第3の特性、「二重関係」からなるカウンセリングということになる。第四図にそれが表されている。それは静止しているのではなく絶えずダイナミックに動いているのである。
この図解は晩年先生によってさらに精緻な図解として表現されている。その中のひとつが以下である。
以上が重要点のみ述べられた真宗カウンセリングの特徴である。
一方、西洋の心理学もトランスパーソナル心理学として発展し、東洋の道と交流しながらひとつの大きな道を歩みつつある。その代表としてケン・ウィルバーの意識のスペクトラムを先生は紹介している。図解だけを述べておくと以下の如くである。(西光義敞「老人処遇における仏教カウンセリング」より)
先生探求のエポックをなす重要な論文である。
文献:西光義敞「真宗カウンセリングの成立」(『援助的人間関係』永田文昌堂 p.29-54所収。『育ち合う人間関係』本願寺出版 p.151-188所収)
ここを単に知的に理解するのみならず体験とも照らし合わせながら、もちろんわからないところも残しながら共有しあえて行ったのがやはり貴重だった。有意義な時間であった。
こうして本論文をひとまず読み終えたことになる。今後について次回話し合うことになった。その前に今の私に生きているD-pcaについて語る時間をいただくことにした。
次回は、5月10日(火)午後7時半~9時半。場所は当センター。詳しくはこのページご覧下さい。
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