7月D-pca研究会-成長促進的心理風土のための3条件-
先日7月12日(火)はD-pca研究会。いつものようにオープニング・ミーティング。プランとしてカール・ロジャーズ/畠瀬直子監訳『人間尊重の心理学-我が人生と思想を語る-』の輪読を始める。シェアリングとして日常の思いが語られた。
輪読。原著はCarl R. Rogers. A Way of Being 1980である。邦題は「人間尊重の心理学-わが人生と思想を語る-」になっている。1984年創元社。
その中から第六章「人間中心アプローチの形成」を読み進めていくことにした。
「人間中心アプローチ」とはperson-centered approachの邦訳である。今まで彼のアプローチについて様々な呼び名(label)が付けられてきた。非指示的療法(non-directive counseling、来談者中心療法(client-centered therapy)、生徒中心授業(student-centered teaching)、集団中心のリーダーシップ(group-centered leadership)である。つまり応用分野が広がっていったわけでより包括的な言葉"person-centered approach"が適切だと思うとのこと(ロジャーズp.109)。「人間中心アプローチ」という訳語はそこから来ている。PCAと略される。ロジャーズが小文字をわざわざ使っているところが私には印象的だった。固定されたドグマではないのだ。
この章はそのアプローチの特徴について述べられると共に「成長傾向(Formative Tendency)」、「全体論的傾向(holistic)」について語られていく。自然科学分野との親近性についても述べられている。まさにこのアプローチの集大成といえるものである。特に1980年代からトランスパーソナルな特徴へと動いていっていく。その大きな転換期でもあったといえる。
まずは 人間中心のアプローチの特徴について述べられる。 これらは仮説として提言されている。有名な人間の自己実現的傾向。そして、それを促進するための成長促進的心理風土である。1.一致、2.無条件の肯定的配慮、3.共感的理解として集約されている。そして、その中で個人がどう変化していくのかについて述べられている。つまり、尊重される関係の中で一致の方向に人は向かっていくということである。ここに「真の全人となる自由が存在」するのだ。(ロジャーズ p.111)。(山下要約→ダウンロード - pcae381aee4b8ade5bf83e79a84e4bbaee8aaac.pdf)
読みながらいつものようにそれぞれの思いのところを共有しあっていく。グループ経験が豊富な参加者なので自身の体験とを照合しながら話し合われていくところに充実感があった。
・このアプローチはいわゆる操作的なアプローチではない。カウンセラーの心理的態度が重要でその中で自ずと人は変化していく。ここに特徴がある。けれどもこの違いは結構わかりにくく誤解も生じている。
・自身のグループ学習体験から。私の居所を尊重される中で自分を大切に、発見し、自分の感情に気づき、自由になっていく姿を経験して行っている。
このようなことが話し合われた。人間中心アプローチ(PCA)は知的な学習ではなく自身の全体を通した体験的な学習なのだなと改めて思った。ほんと今言葉で書いていることも充分に体験内容が表わせていないなとつくづく思う。
毎回手応えのある場になっている。
次回は、8月9日(火)午後7時半~9時半。場所は当センター。→このページ参照
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