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2022年8月22日 (月)

D-pcaの成長促進的心理風土について-両者の比較検討から-

 今年もロシアPCA協会主催のカンファレンスに参加する事になった。もちろんオンラインでの参加になる。D-pcaということで発表を続けているが今年もそれを継続。けれども一歩進める形になっている。D-pcaの中核である成長促進的心理風土について両者を比較しながらより詳しく報告してみようと思っている。案をまとめてみた。まずは日本語のもの。

 

仏法を基底にした人間中心アプローチの成長促進的心理風土について-両者の比較検討から-

 

 仏法を基底にした人間中心アプローチ(D-pca)は仏教(特に真宗)と人間中心アプローチ(Rogers)との深い交流が生まれてくる新しいアプローチである。今回はその中心を占める成長促進的心理風土についてその両者を比較する中から報告してみたい。

 

 真宗。これは日本仏教の根底にある仏教である。日本の深い霊性に根ざしている(鈴木大拙)。凡夫が仏になる道である。この真宗を自らに体験した人が真宗者、あるいは念仏者であるがその人達には独自の人間観がある。弥陀の本願を信ずる身、そこから照らし出された執着心の塊である自己を見、また広く他人にもそれを見る態度がある。そしてそれがそのまま阿弥陀仏から願われたことを信知する身である。そこから自ずと自己と他己を尊重する態度が醸し出されてくる。

 

 次は人間中心のアプローチ(person-centered approach)。成長促進的心理風土に関するこのアプローチの功績は大きい。自己実現傾向。そしてそれを促進するための心理的風土核心3条件。1. 一致(真実性)、2. 無条件の肯定的配慮、3. 共感的理解。そしてそれを身につける道筋についても明らかにしている。

 

 この両者には共通点と相違点がある。共通点は自己と他己を尊重する態度であると思う。同時に相違点もある。相違点の第1は自己肯定感の違いである。真宗者は弥陀の本願力に安らう身である。何があっても無条件に肯定されている身である。そのままなのである。真宗のそのままはほんと煩悩具足そのままの身であってよいということである。そこに救いの原点があるという深いこころの安らぎにある。一方PCAにはここまでの底からの安らぎについては言及されていないように思われる。単純に成長力があると言及されているのみである。第2の相違点は援助的人間関係への言及である。真宗にはPCAのような援助的人間関係が具体的になっていない。

 

 それぞれの起源の違う両者が今ここに援助者の中で出遇う時、そこにより深い援助的心理風土が醸し出されるものと思う。それは真宗から言えば歴史の中で形骸化しつつある真宗への原点回帰である。PCAから言えば、それをより徹底して深める形になるものと思われる。

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