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2022年10月27日 (木)

10月D-pca研究会-他科学分野から検証されていく生命体の実現傾向-

 先週10月18日(火)はD-pca研究会だった。オープニング・ミーティングで「困っていること」、「プラン」、「分かち合い」について出しあった。困っていること、分かち合いについては渇愛する。プランとして輪読をすることになった。これは継続プランである。著書はカール・ロジャーズ著・畠瀬直子監訳『人間尊重の心理学-わが人生と思想を語る』創元社である。

 

 今回読んだところは第六章「人間中心アプローチの形成」の三「生命体の志向するプロセス」より、「現代の理論と実践から」、「信頼できる基盤」。そして四「広い視点からみた形成傾向」まで読み進めた。(p.115-120)。

 

 人間中心アプローチの基盤である人の実現傾向、あるいは自己実現傾向は様々な角度から検証されていっている。心理学の分野のみならず遺伝子科学、物理学、天文学の分野でもそれは認められていっているというのである。

 

 遺伝子科学からは「遺伝子情報は成体の特性を規定するのに十分な情報を含んでいるのではなく各細胞の相互関係を規定する法則を含んでいる」というのである。つまり遺伝子情報は育ちうるというのである(p.115)。また、「生物学的プロセスは相互的因果関係的である」というのである(p.116)。すべては支え合って、関係し合って、動き合っていく、つまり育ち合っていくというのだ。

 

 これは本当に面白い。仏教の基本的考え方に縁起というのがある。この考え方が生命体のプロセスで検証されていっているということにもなる。

 

 また感覚遮断研究という研究がある。これは完全な無刺激状態を作って人間をその中に置いた場合どうなるかという研究である。そういえばこの研究については見聞きしたことがある。そうすると人間は何もないままでいるというのではなくむしろ内部から刺激を産み出していくというのである。もちろん時には妄想といった状態を生み出すこともあるのだがともかくフロイドの「『神経組織はもしも可能ならば無刺激状態を維持する』というフロイトの仮説は非常に誤っている」ことになる。(p.116)

 

 さらに生命体はたんに食欲や性的満足といった単純な欲求満足の追求に終始するというのではなく、時にはそれを断念してまで自己の尊厳を高める方向で満たそうとしていくというのである。「生命体の維持だけではなく、その向上を含むような実現、充足への志向」があるというのだ。(P.117)

 

 まさにPCAの基本仮説、実現傾向や自己実現傾向、そのような方向に向かう求めて止まない動きが人間には潜在的に存在しているということがPCA内部だけではなく他の分野に置いてもそれが認められていっているということになる。

 

 さらにこれは宇宙の形成、消滅という分野にも見られるというのだ「形成傾向(formative tendency)と呼ばれている。この宇宙は生成し消滅し、また生成し消滅していくという。もちろん崩壊のプロセスもあるのだがまた一方で形成、創造という動きを続けている。人間にもそれが見られるというのである。(p.120)

 

 まさに壮大な話しになってきた。けれどもロジャーズの思索はこのように宇宙的レベルにまで広がっていっているということになる。

 

 ここで私達は生死、輪廻転生、縁起といった仏教の根本との親近性をも見たように思う。次第に次第に橋が架かっていっているのである。ここが大変興味深いところである。もちろん詳細は検討していく必要があるが。

 

 こんなふうなことであった。ちょっとわかりにくい文章ではあった。平易な日本語に翻訳されているとはいえ、英語文化圏で思索しているかれの考え方はもともとがやはり違う。日本語にしたからといってすぐにわかるものでもない。とはいいながらこうやってみんなで読んでいく内に理解が深まって行ったように思う。いつものように刺激的な研究会である。

 

文献:カール・ロジャーズ著・畠瀬直子監訳『人間尊重の心理学-わが人生と思想を語る』創元社 1980

 

 次回は、11月8日(火)午後7時半から9時半。場所は当センターである。詳しくはホームページを参照して下さい。

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