12月D-pca研究会-意識構造の変化-
先日12月20日(火)はD-pca研究会だった。いつものようにオープニング・ミーティングから始める。「困っていること」、「やりたいこと」、「分かち合い」の三本柱だ。日常生活での思いが語られる。「やりたいこと」としては継続プランになっている輪読が出される。読んでいる本はカール・ロジャーズ著・畠瀬直子監訳『人間尊重の心理学-わが人生と思想を語る-』創元社である。原題は"A Way of Being"である。ロジャーズの最終著書だ。1980年。
読んだところは第6章人間中心アプローチの形成より第5節人間の意識機能、第6節意識変化である。(p.120-122)
PCAの体験学習をすすめていて次第に「気づき」ということが大事になってくる。「意識化」をひらたくいうと「気づき」という言葉になるのではないかと思う。自分と他人との区別、自分の中の欲求、感覚、そして情動、感情への気づきが深まってくる。知的にわかるというよりありありと経験するいう感覚である。感じとるという方がよいかも知れない。これはほんと学習によって進んでいく。ああ自分が今まさに生き生きと生きているなという感じがするのである。
そうしてこれはさらに深まりを持って来る。自分と他人とは別ではありながらそれを超えて何かもっと大きなものによって生かされている。どこか普遍的なものに生かされている。そんな感覚が深まってくる。別個の人間でありながらどこか共通のものによって生かされている。その海のようなものにそれぞれがぽかんと浮かんでいるような感覚だ。これは集中的グループ経験の時によく表れてくる。そういう中では自分に浮かぶ思いや感覚を表明するとそれが波のように共鳴してそれぞれの居所に届いていって何か深い気づきが深まったりする。それを「宇宙」と呼んだり「気」とよんだりしているのではないかと思う。ユングの「集合的無意識」もこれに相当すると思う。私には「気」という言葉がよりぴったりとくる。このあたりがPCA(人間中心アプローチ)の妙味でもある。
この節ではこれらのことが語られていると思う。ロジャーズにもその体験が深まって行っていたのである。特に晩年に。
このあとこれがトランスパーソナル心理学としてひとつの流れになっていくのだ。この節に出てくるグロフがそうである。ロロ・メイもその流れにある。ロジャーズもその架け橋になっていたように思う。マズローもそうである。ちなみにこれを英語では"transcending experience"と呼んでいる。
ここが大変興味深いことである。これは当然東洋思想や道へと探求が深まって行く。仏教に関心が出てくるのもこの流れの中だ。
というわけでこの節は大変興味深く読み、かつ参加者のグループ体験と照らし合わせながら思いを共有出来たことが面白かった。
そうしてこれは日本人と西洋人の意識構造の違いとも関係してくる。日本人は西洋人に比べて意識がトップにあるというより中にあるような感じがするのだ。欧米の人達と接しているとそのあたりの違いをリアルに体験する。とはいえ、これらは未だ直観的なものであり、単純に一般化することも出来なくて今後の課題だなと思う。けれども次第次第にここに架け橋がかかっていっているのが現代(ポストモダン)だなと改めて思う。
深まりのあるおもしろい時間だった。次回は来年2023年1月10日(火)午後7時半~9時半である。場所は当センター。このページも参照下さい。
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