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2023年1月27日 (金)

ADPCAに記事を載せていただきました

 アメリカにADPCAという協会があります。まさにPCAの老舗ともいえるところです。"The Accociation for the Developmnt of the Person-Centered Approach"の略です。「パーソンセンタード・アプローチの発展のための協会」とでも訳しましょうか。ここが"Renaissance(ルネッサンス)"というニュースレターを発行してきています。

 

 ここに私の投稿を載せていただきました。日本語で書いたものを英語に訳して下さっています。タイトルは「私の中でPCAがどのように生きているか」。今の私の心境を綴っています。ここに紹介いたします。ダウンロード - adpca20renaissance202022.pdf

 

 

 ちなみに日本語の部分だけここに載せておきます。

 

 

私の中でPCAがどのように生きているか

 

 山下和夫と申します。今回このような機会をいただいたことをとてもうれしく思います。母国語である日本語で書けることをとても光栄に思います。

 


 私は50年前にPCAに出会いました。大学生になったばかりの時でした。仏教徒であり、PCAの深い学習者であった西光義敞(さいこうぎしょう)先生のクラスを受講したのがきっかけです。先生の深いありように私の人生が一変したのを憶えています。その時からずっとPCAの学習を続け、社会福祉現場と大学教育での実践も行いました。70才になった現在、個人でD-pcaセンターを開いてカウンセリング、リトリートグループ、ワークショップを行っています。仏教(特に浄土真宗)とPCAとの交流から生まれてくるアプローチ、Dharma-based person-centered approach(D-pca) です。また家族も大事な存在です。今回はその中から今の私を書いてみたいと思います。

 


 まず初めに自分が内面的にとても豊かであるということです。自分の中で一刻一刻ほんとうにいろんな気持ちが起き、それと共にいるという感じです。それは気持ちだけではありません。音や見るものや味や匂いといった感覚もそうです。そして身体の感覚もあります。もっとも歳を重ねる毎に衰えの感覚もあってすべてがいい感じとも言えないですが、それも自分の一つとして共にいる感覚でいます。何か全体として豊かなことを経験するなと思います。そうして仏教徒である私は常に私に向かう阿弥陀仏の大悲に安らぐ身でもあります。根底をいただいているという感じです。そういう内的世界に目が向かっていることがとても私を豊かにします。

 


 そして、それは私に縁のある人達にも向かいます。その人達にも独自の豊かな世界があります。同じく全体としての人間です。それを共にすること。これまた私を豊かにさせてくれます。このような機会に恵まれたことにとても感謝しています。またここにも阿弥陀仏の大悲が絶えず注いでいます。

 


 その私と他の人々の内的世界の橋渡しをするものが「聞く」ということです。「共感的理解」という動きです。他の人達の心の動きや考え、五感をこちらがまさに内面に向かってその人の枠組みで理解しようとし、その理解を私の言葉で表現し、確かめていく。そのように心が動いていく。そんな心の姿勢です。そうすることによってお互いの内的世界を2人で旅する。そんな感覚がとても豊かで楽しいと思っています。

 


 さて、この「聞く」ということは私にも向かっているなと最近では特に思います。私の内部で動いているものを聞く。私に働いている阿弥陀仏の大悲の働きを聞く。そこには先ほど述べた豊かな世界が展開しています。「一致」というのはこのことを指しているのではないかと思います。そう考えるとPCAの基本は「聞く」というところに統合されるのではないかと思うのです。

 


 さらに私を豊かにしてくれものがあります。それは「実現傾向」、それに向かって動いていこうとする力です。これが全ての人間に存在しているということです。もちろん私を含めてのことです。この体験はとても大きなことでした。PCAから学んだもっとも大きなことです。もちろんこの傾向は楽しいことばかりではありません、時には苦しくてもがくこともあります。苦闘という言葉がぴったりです。社会のありようと齟齬することもあります。この時は苦しいですし、孤独を感じることもあります。けれども、その事をあきらめないでよかったなと本当に思います。そこに今の私があると思います。

 


 また、私と関わりのある人達、クライエントにそれを見ます。今のしんどい状況下で精一杯生きようとしてもがいているクライエントを見ることは素晴らしいです。その中からクライエントは必ず自分を見つけていきます。もちろんそれは社会的成功と一致するときもありますし、それと真反対の時もあります。けれどもその中で彼らは自分の位置を確かめていこう、それを大事にしようとして動いていくのです。PCAに出会い、この仕事をしてよかったなと思う瞬間です。
 ちょうど「体験過程」、「実現傾向」、「自己実現傾向」、「一致」、「無条件の肯定的配慮」、「共感的理解」というPCAの基本仮説を日々体験していると思っています。


 もうひとつ大きなことがあります。それは国際交流です。アルベルト・セグレラさんが主催されてきている国際PCAフォーラムへの参加経験です。ここからPCAを通して世界中の人達と出会いました。このインパクトも大きいです。その人達とほんと人と人との奥深い出会いを体験します。私のせまい世界観がすっかり変わり、目が開かされることばかりです。コロナ禍でここしばらく海外に出ることが出来ませんでしたがその間もFacebookやZoomをも通してさらに私の中で広がって行っています。人と人とが直接会うことが出来るようになってもこの手段を通してますます豊かな交流ができるようになったと思っています。

 


 これが今の私です。最後まで読んでいただきありがとうございました。

 


2022/10/31 山下和夫

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